Source: RISKYBRAND MINDVOICE® 2020
分析対象:15-74歳(一部15-64歳)一般生活者男女個人
標本数:N=4,400(2020年)*時系列データの標本数は年度によって異なる。
調査時期:2020年5月1日~8日
調査手法:インターネット調査
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サマリー
I. この10年で重要度が高まった企業評価基準は、革新性、優しさ、クールさ。この傾向は、消費者目線でもリクルート目線でも同様。
MINDVOICE®調査では、企業の評価基準を、一般生活者を対象にA)消費者目線、B)リクルートの視点、C)将来性を感じる有望な会社という3つの視点から、21の評価項目(注 1)で計測しています。本レポートではA)消費者の目線、B)リクルート目線の2つの目線での企業評価基準の変化について分析を行いました。
本分析では、2010 年と2020年の2地点のデータを比較し、この10年での変化を中心に考察いたしました。なお分析対象は、2地点のデータ比較が可能な15-64歳男女個人2010年(N=4,048)、2020年(N=4,000)です。
消費者目線
CHART1 は、「消費者の立場として、商品サービスを購入したい会社」という質問文を使って、”消費者目線”での企業評価基準のスコアを示したものです。
“消費者目線”での企業評価基準で重要度の高いトップ3 は「信頼性」「知名度」「サービスの良さ」です。これらは商品・サービスに直接かかわる要素と言えるでしょう。
これらトップ3 の項目の、2010年のスコアを100にした場合の2020年のスコア(伸長率)はそれぞれ127、119、116となっています。これら商品・サービスに直接かかわる項目の重要度は、この10年で益々高まっていることが分かります。
次に、この10年での伸長率が140ポイント以上だった項目を上から順に拾うと「手厚い福利厚生」「不可能を可能にする」「国際性」「独創性」「先見性」「環境・社会貢献」「リーダーシップ」「遊び心」「デザイン力」といった項目があげられます。
これらの項目は、必ずしも商品・サービスに直接かかわる要素ばかりではありません。「手厚い福利厚生」はその典型です。確かに、「手厚い福利厚生」は重要度の順で21項目中最も低い位置づけですが、2020年では日本人全体の8.8%(2010年では3.9%)が「消費者の立場として、商品サービスを購入したい会社」の条件の1 つとしています。
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“ この10 年で消費者目線で重要度が高まった項目は
『クールな』会社であること、または『革新的』『優しい』。”
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この10 年での変化として、消費者目線で重要度が高まった項目は次のようにまとめられるでしょう。
『革新的』であること:不可能を可能にする、国際性、先見性、リーダーシップ
『優しい』会社であること:手厚い福利厚生、環境・社会貢献
『クールな』会社であること:独創性、遊び心、デザイン力
リクルート目線
CHART2 は、「就職したい(または、家族を就職させたい)会社」という質問文を使って、”リクルート目線”での企業評価基準のスコアを示したものです。
“リクルート目線”での企業評価基準で重要度の高いトップ3は「信頼性」「手厚い福利厚生」「堅実性」です。働く会社としての基礎的な要素と言えるでしょう。
これらトップ3の項目の、2010年のスコアを100にした場合の2020年のスコア(伸長率)はそれぞれ130、132、124となっています。”リクルート目線”として基礎的な要素の重要度はは、この10年で益々高まっていることが分かります。特に、「手厚い福利厚生」の伸長率は132ポイントと、この3つの中で最も高まっています。
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“ リクルート目線として「手厚い福利厚生」は当たり前、
「不可能を可能にする」「デザイン力」「独創性」といった企業としての革新性やクールさが、
この10年重要度を増してきている。”
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次に、この10年での伸長率が140ポイント以上だった項目は「不可能を可能にする」「デザイン力」「独創性」の3つです。特に「不可能を可能にする」という項目は、2020年では13.7%(2010年では8.1%)に過ぎませんが伸長率は168と高いスコアです。
売り手市場と言われてきた近年、リクルート目線として「手厚い福利厚生」は当たり前、「不可能を可能にする」「デザイン力」「独創性」といった企業としての革新性やクールさが、この10年重要度を増してきているようです。
“消費者目線”として重要度を増してきた『革新的』であること『優しい』会社であること、『クールな』会社であることは” リクルート目線” としても、この10 年で重要度が高まっていると言えるでしょう。
II. Z世代に向けた企業対応は「柔軟性」と「懐の深さ」が重要に。
企業の判断基準は世代によって異なる場合があります。MINDVOICE®2020年調査を用いて、15-74歳男女個人を対象に、世代による企業の評価基準の違いをみてみましょう。各世代の定義(注2)を、2020年の年齢で25歳以下をZ世代、26-40歳をミレニアル世代、41-49 歳を団塊JR(ジュニア)世代、50-64歳をバブル世代、65-74歳を団塊世代としました。
消費者目線
CHART3 は、コレスポンデンス分析(注3)という統計手法によって、それぞれの世代と” 消費者目線” での評価基準(21変数)との距離を数値化し2 次元上にプロットしたMAPです。
“消費者目線”での企業評価基準を世代別にみると、Z世代はMAP上右下のゾーンにプロットされます。Z世代は「柔軟性」と「懐の深さ」が重なり合った期待値を企業に抱いているようです。”消費者目線”でのMAPの右下のゾーンを詳しく見てみると庶民性、不可能を可能にする、インクルージョンといったキーワードが浮かび上がります。Z世代に向けたマーケティングではこうしたキーワードが重要だと言えるでしょう。
他の世代の傾向を見てみると、最も年齢が高い団塊世代は左下のゾーンにプロットされます。団塊世代は「実直性」と「懐の深さ」が重なり合った期待値を企業に抱いているようです。また団塊JRは左上のゾーン、つまり「実直性」と「一流感」が重なり合った期待値を、ミレニアル世代は右上のゾーン、つまり「一流感」と「柔軟性」が重なり合った期待値をそれぞれ企業に抱いているようです。バブル世代は、団塊世代と団塊JRとの中間にプロットされます。
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“ Z 世代に向けた企業対応は「柔軟性」と「懐の深さ」が重要です。
具体的にはマーケティングの場面では庶民性、不可能を可能にする、
インクルージョン、リクルートの場面では遊び心、
デザイン力、ビジョナリーといったキーワードが大切になってきます。”
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リクルート目線
CHART4 は、同じくコレスポンデンス分析によって、それぞれの世代と”リクルート目線”での評価基準(21変数)との距離を数値化し2次元上にプロットしたMAPです。
“リクルート目線”での企業評価基準を世代別にみてみると、”消費者目線”のMAPとほぼ同じような傾向がみられます。
“リクルート目線”でも右下にプロットされたゾーンを詳しく見てみると、遊び心、デザイン力、ビジョナリーといったキーワードが浮かび上がります。Z世代に向けたリクルートの活動ではこうしたキーワードが重要だと言えるでしょう。
Z世代に向けた企業対応は「柔軟性」と「懐の深さ」が重要です。具体的にはマーケティングの場面では庶民性、不可能を可能にする、インクルージョン、リクルートの場面では遊び心、デザイン力、ビジョナリーといったキーワードが大切になってきます。
(了)
資料:分析手法等についての記述
注1.「企業の評価基準」21の評価項目
企業評価基準は次の21の評価項目(2010年調査は20項目)から形成されます。
各評価項目はそれぞれの質問文でアンケートを行いました。
注2.各世代の定義
本分析では各世代を次のように定義しています。
注3.コレスポンデンス分析
コレスポンデンス分析とは多変量解析と呼ばれる統計手法の1つです。具体的には、属性と分析項目との関係性を類似するもの同士が相互に近い位置にプロットされるよう2次元のマップ上に表現されるものです。
※参考:IBM Knowledge Center「コレスポンデンス分析」
MINDVOICE®とは
MINDVOICE®MINDVOICE®は、ブランド戦略コンサルティングを行う(株)リスキーブランドが一般生活者を対象に実施する経年調査です。2008年以降実施(約4000サンプル/年)する定量調査データをもとに商品企画やマーケティング活動を含む企業のブランド戦略を支援するリサーチプログラムです。
・調査対象:全国、15-74歳の日本人男女 *2017年までは15-64歳
・調査手法:インターネット調査
・有効回答:約4,000サンプル(15-74歳男女)
*MINDVOICE®は株式会社リスキーブランドの登録商標です。
株式会社リスキーブランドについて
株式会社リスキーブランドは、2001年創業のブランドコンサルティング・ファームです。社会動向や生活心理分析を強みとしたマーケティング戦略、企業のイメージ戦略まで企業のブランド施策をワンストップでお手伝いします。
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