Source: RISKYBRAND MINDVOICE® 2020
分析対象:15-74歳(一部15-64歳)一般生活者男女個人
標本数:N=4,400(2020年)*時系列データの標本数は年度によって異なる。
調査時期:2020年5月1日~8日
調査手法:インターネット調査
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サマリー
- LINE、YouTube、Twitter、Instagramのアクティブユーザーが大きく伸張。「ステイホーム」を合言葉にした新しい生活様式が後押しか?
- 主要SNSブランドのポジショニングは、ユーザーの価値観によって棲み分けができつつある。
- 男性・中高年層に強いFacebook、女性・若い世代に強いInstagram。
I. LINE、YouTube、Twitter、Instagramのアクティブユーザーが大きく伸張。「ステイホーム」を合言葉にした新しい生活様式が後押しか?
MINDVOICE®調査で継続的に測定しているSNSアクティブユーザーの動向を見てみました。アクティブユーザーとは「日常的に活用している」人をさし、「IDを持っているがあまり利用していない」「IDはもっていないが時々覗いている」「近い将来IDを取得して利用してみたい」という人は除きます。
CHART 1 は、それぞれのSNSのアクティブユーザーの、日本人全体(15-64歳男女)での割合を時系列(注1)で示したものです。このデータをみると、LINE、YouTube、Twitter、Instagramのアクティブユーザーは大きく伸長していることが分かります。
LINEは日本人の6割以上がアクティブユーザーという国民的SNSともいうべきトップワンブランドに成長しました。この1年でも前年比110%と2桁成長を見せています。
YouTubeはこの1年でもっとも多くのアクティブユーザーを獲得(前年比125%)し、2020年には日本人全体の50%がアクティブユーザーというSNSに成長しました。
Twitter、Instagramのアクティブユーザーの数も、前年比それぞれ118%、124%と2桁成長をみせ、それぞれのアクティブユーザーも日本人全体の36.5%、26.6%というスコアになっています。これら好調なSNSの背景には新型コロナの影響で「ステイホーム」を合言葉にした新しい生活様式が後押ししていると推察されます。
一方、ここ数年下降傾向にあったFacebookは下げ止まりの傾向を見せています。Facebookはこの数年若者離れの傾向を見せていましたが、独自のポジションを獲得した結果なのかもしれません。
また、世界的に多くのユーザーを獲得しているTikTokは、日本国内ではまだ4.6%のアクティブユーザーしか獲得していませんが、前年比138%と成長基調にあります。mixiは2020年も下降傾向がとまらない状況、海外ではビジネスマンを中心に多くのユーザーを獲得しているLinkedInも日本国内では苦戦しているようです。
II. 主要SNSブランドのポジショニングは、ユーザーの価値観によって棲み分けができつつある。
CHART 2は、5つの主要SNSブランドのポジショニングをみるために、それぞれのアクティブユーザーの価値観をMAP化したものです。このMAPは、コレスポンデンス分析(注2)という統計手法によるもので、5つのSNSアクティブユーザーと30項目の価値観(注3)との距離を数値化し2次元上にプロットしたものです。
Facebookアクティブユーザーは『広い視野で』物事を考える傾向が強く、「環境啓蒙意識」「虚栄心」「SDG’s志向」といった価値観と近い関係にあります。Facebookは環境問題を危惧する知的顕示欲が高い人たちのブランドというポジションにあると読み取れます。
Instagramのアクティブユーザーは『変化を求める』傾向が強く、「友達はSNS」「流行先取り」「LGBTフレンドリー」といった価値観と近い関係にあります。一言で言うとInstagramは時代を先取りする人たちのブランドというポジションにあると言えるでしょう。
Twitterのアクティブユーザーは、『自分の目線で』物事を考える傾向が高く、同時に(Instagramユーザーほどではありませんが)『変化を求める』傾向が強いようです。「刹那主義」「ネガティブ志向」「甘えたい」といった価値観と近い関係にあるようです。Twitterは自分目線の(ときに独りよがりの)トレンドリーダーのためのブランドと言えるでしょう。
LINEとYouTubeは、価値観という観点では近い関係にあります。共に『変化を嫌う』つまり平穏な日常を大切にする傾向が見られます。共に「伝統的結婚観」「日本人である誇り」「伝統的男女観」「男性優先」「プライバシーを危惧」といった価値観と近い関係にあります。
とはいえ、LINEは『変化を嫌う』傾向が、YouTubeは『自分の目線で』考える傾向がそれぞれ強いようです。LINEは大きな変化を避け日常を大切にする人のブランド、YouTubeは平穏な日常を自分の目線で楽しむ人のブランドというポジションのようです。
III. 男性・中高年層に強いFacebook、女性・若い世代に強いInstagram
CHART 3は主要SNSアクティブユーザーの男女比、CHART 4は世代構成比を示したチャートです。本分析では、各世代の定義(注4)を、2020年の年齢で25歳以下をZ世代、26-40歳をミレニアル世代、41-49歳を団塊JR(ジュニア)世代、50-64歳をバブル世代、65-74歳を団塊世代としました。また、この分析では、性・年齢を日本人の人口動態に合わせたウェイトバック処理(注5)を行っています。
Facebookはアクティブユーザーの約6割が男性、6割強が団塊JR(ジュニア)より上の中高年層が占めます。環境問題を危惧する知的顕示欲が高い人たちのブランドというFacebookのポジションとも符合します。
Instagramはアクティブユーザーの約6割が女性、約65%をミレニアル世代以下の若い世代が占めます。Instagramは特にZ世代からの支持が高いことも顕著です。これも、時代を先取りする人たちのブランドというInstagramのポジションと符合します。Facebook、Instagramという2つのブランドをグループ内でもつFACEBOOK社は、非常に効率的なブランドポートフォリオを有していると考えられます。
他のSNSブランドでは、比較的男性に強いのはTwitter、YouTube。Twitterの方がZ世代の構成比が高いようです。LINEは比較的女性に強く幅広い世代のアクティブユーザーを獲得しています。
(了)
資料:分析手法等についての記述
注1.時系列
時系列データでは各年度の比較が可能な15-64歳男女個人を対象としています。
各年度の標本数は次の通りです。
2011 4,028
2012 4,181
2013 4,267
2014 4,239
2015 4,272
2016 4,367
2017 4,361
2018 4,395
2019 4,528
2020 4,000
注2.コレスポンデンス分析
コレスポンデンス分析とは多変量解析と呼ばれる統計手法の1つです。具体的には、属性と分析項目との関係性を類似するもの同士が相互に近い位置にプロットされるよう2次元のマップ上に表現されるものです。
※参考:IBM Knowledge Center「コレスポンデンス分析」
注3.30項目の価値観
本分析に用いた30項目の価値観は次の通りです。
注4.各世代の定義
本分析では各世代を次のように定義しています。
注5.日本人の人口動態に合わせたウェイトバック処理
MINDVOICE®調査の標本は性・年代の均等割り付けを行っていますが、本分析(男女比・世代構成比)の集計においては、実際の日本人の性・年代別人口構成に合わせるために、ウェイトバック処理(サンプルに重みづけを行った集計)を行いました。ウェイトバックは、総務省統計局(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2019np/index.html)の人口推計(2019年10月1日現在)の性・年代構成を元にしています。
MINDVOICE®とは
MINDVOICE®は、ブランド戦略コンサルティングを行う(株)リスキーブランドが一般生活者を対象に実施する経年調査です。2008年以降実施(約4000サンプル/年)する定量調査データをもとに商品企画やマーケティング活動を含む企業のブランド戦略を支援するリサーチプログラムです。
・調査対象:全国、15-74歳の日本人男女 *2017年までは15-64歳
・調査手法:インターネット調査
・有効回答:約4,000サンプル(15-74歳男女)
*MINDVOICE®は株式会社リスキーブランドの登録商標です。
株式会社リスキーブランドについて
株式会社リスキーブランドは、2001年創業のブランドコンサルティング・ファームです。社会動向や生活心理分析を強みとしたマーケティング戦略、企業のイメージ戦略まで企業のブランド施策をワンストップでお手伝いします。
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