Source: RISKYBRAND MINDVOICE® 2020
分析対象: 国内のビジネスマン(企業に勤務する役員・正社員・契約社員)
標本数: N=1,696
調査時期: 2020年5月1日~8日
調査手法: インターネット調査
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サマリー

  1. 新コロナの影響で、4割弱のビジネスマンが週3日以上(うち2割強がほぼ毎日)のテレワークを経験。
  2. 若い世代は、テレワークがもたらす自由な風土・多様性・創造性などの期待を寄せる一方、企業の理念やビジョンの浸透についての危惧も抱いている。
  3. テレワークによる生産性は不透明だが、テレワークそのものは歓迎されている。
  4. 今後の意向として、約3割のビジネスマンがテレワーク中心(週3回以上)に仕事をしたいと考えている。

  5.  

    新コロナの影響で、4割弱のビジネスマンが週3日以上(うち2割強がほぼ毎日)のテレワークを経験。

    新型コロナウイルス感染症対策(以下、「新コロナ感染対策」という)期間中、「基本的に毎日」テレワーク(注1)を行った人は22.1%、「週3~4日」の15.3%を併せると、4割弱(37.4%)のビジネスマンが週3回以上テレワークを経験したことが分かりました(CHART 1参照)。

    Chart1

    週3日以上テレワークを行った人は、2019年には4.8%だったことを考えると、新コロナ感染対策をきっかけに、多くのビジネスマンがテレワークを突然経験したことになります。

    まず、新コロナ感染対策期間中のテレワークの実施状況を、企業規模、業種、居住地域別に確認いたします。分析には「基本的に毎日」テレワークを行った数値を用いました。

    企業規模別
    この期間中のテレワークの実施状況を企業規模で見ると、大企業ほどテレワークの実施が多かったようです。50人未満の企業では14%、3,000人以上の企業では30.1%と2倍以上の開きがありました。(CHART 2参照)。

    Chart2

    業種別
    業種によっても大きな差異が見られました。同期間中に「基本的に毎日」テレワークを行った人は、IT系企業では42.8%にのぼるものの、医療・福祉、運輸・物流にかかわる企業ではそれぞれ7.3%、5.2%と、大きな開きがあったようです(CHART 3参照)。

    Chart3

    居住地区別
    居住地区別では、関東でのテレワークの実施が多かったようです。同期間中に「基本的に毎日」テレワークを行った人は、関東では3割を超えますが、近畿では2割、北海道・東北、中部・北陸では1割前後、中国・四国、九州・沖縄では1割にも満たなかったようです(CHART 4参照)。

    Chart4

    若い世代は、テレワークがもたらす自由な風土・多様性・創造性などの期待を寄せる一方、企業の理念やビジョンの浸透についての危惧も抱いている。

    次に、テレワークそのものについての意識を世代別に見てみました。本分析での各世代の定義(注2)は、25歳以下をZ世代、26-40歳をミレニアル世代、41-49歳を団塊JR(ジュニア)世代、50歳以上をバブル世代としました。

    時間・物理的期待
    通勤時間が要らないこと、育児や介護との両立など、テレワークによる時間・物理的期待は、全世代のビジネスマンの半数以上から支持されていることが分かりました(CHART 5参照)。

    項目別では、「通勤時間がなくなるから、仕事の生産性が高まる」と考えるのはミレニアル世代(64.9%)が最も多いようです。また、「育児や介護との両立ができるようになる」と考える意識は加齢と共に高まりバブル世代(73.7%)で最も高い傾向がみられます。

    Chart5

    多様性や創造性への期待
    自由闊達な風土、多様な人材、創造性など、テレワークがもたらす新しい価値については、若い世代のビジネスマンからの期待が高いことが分かりました(CHART 6参照)。

    「組織として自由闊達な風土が高まる」という考えはZ世代(64.5%)とミレニアル世代(63.9%)に多い傾向にあります。一方そのように考えるバブル世代(47.6%)は半数を切ります。

    また、半数を超えるビジネスマンが「会社に、多様な人材が集まるようになる」と考えており、その中でもミレニアル世代(62.0%)が顕著に高い期待を持っています。Z世代(58.6%)も高い期待をもっているようです。

    「働く人の創造性/クリエイティビティが高まる」と考えるのは、Z世代(53.3%)に顕著で、それ以外の世代では半数を切っています。

    Chart6

    仲間意識やビジョン共有への危惧
    一方、テレワークがもたらす危惧として、全世代で半数以上のビジネスマンが仲間意識やビジョン共有に関する危惧を抱いています(CHART 7参照)。

    テレワークによって「組織としての求心力や仲間意識が低下する」と危惧するのは、団塊JR世代(63.9%)、バブル世代(64.3%)と年配のビジネスマンに多いようです。

    一方、Z世代の59.8%が「会社のビジョンや理念の共有が難しくなる」と危惧しており、団塊JR世代の57.9%、バブル世代の56.6%と同等またはそれ以上の危機感をもっていることが分かりました。

    年配の世代は仲間意識が薄れるという危惧、(年配の世代に加え) Z 世代はビジョンの共有が難しくなるという危惧がみられ、この考えはそれぞれが育った背景や生活価値観に起因するものと推察されます。

    Chart7

    その他の危惧
    テレワークがもたらすその他の危惧として、社員の成長、孤独感、社員同士の不信感をそれぞれ4割前後のビジネスマンが危惧していることが分かりました(CHART 8参照)。

    テレワークによって「社員が成長できる機会が減少する」と危惧するのはミレニアル世代(47.5%)に、「孤独感からストレスや鬱病に悩む人が増える」ことを危惧するのはZ世代(46.7%)にそれぞれ最も多いようです。

    一方、「上司と部下や社員同士が、何となく不信感を持ち合うようになる」と危惧するビジネスマンは、バブル世代は36.5%とやや低めなものの、その他の世代では約4割、Z世代では45.0%というスコアになっています。

    Chart8

    テレワークによる生産性は不透明だが、テレワークそのものは歓迎されている。

    現段階(2020年5月時点)でのテレワークの評価を、生産性、テレワークを歓迎するかどうかという2つの項目で国内のビジネスマンに聞きました。

    テレワークの生産性
    CHART 9は、「Q.リモートワーク(テレワーク)という働き方が増えていくことで、あなたが勤務される会社/組織の生産性はどの程度向上するとお考えですか?」という質問によって、テレワークの生産性についての意見を聞いたものです。

    テレワークによる生産性については、ビジネスマンの半数が「何とも言えない」と答えており、生産性は不透明な状態といったところでしょう。また、生産性について「かなり向上すると思う」と「いくらか向上すると思う」とを合計した『ポジティブ派』は25.1%、「かなり低下すると思う」と「いくらか低下すると思う」とを合計した『ネガティブ派』は24.2%と、ポジティブ派・ネガティブ派が拮抗した数字です。

    ただ、「かなり向上すると思う」と答えたビジネスマンが4.7%であるのに対して、「かなり低下すると思う」と答えた人が11.6%と2倍以上の開きもあり、テレワークによる生産性について強いネガティブ感を抱いているビジネスマンがいることも事実のようです。

    世代別に見てみると、若い世代ほどポジティブ派が多く、年配の世代ほどネガティブ派が多く、Z世代の34.9%がポジティブ派なのに対して、バブル世代では18.4%に過ぎません。また、年配の世代ほど「何とも言えない」と答える割合が多いことからも、年配世代のビジネスマンはテレワークの生産性は文字通り不透明な状態という認識だと言えるでしょう。

    Chart9

    テレワークを歓迎するか?
    テレワークの生産性という側面でみると、現段階では不透明な状態にあるようですが、テレワークを歓迎するかどうかという側面では、テレワークを歓迎するビジネスマンが多いようです(CHART 10参照)。

    「Q.リモートワーク(テレワーク)という働き方が増えていくことは、あなたご自身にとって喜ばしいことですか?」という質問では、「喜ばしいことだ」と「まあ喜ばしいことだ」とを合計した『歓迎派』は44.1%、「喜ばしいことではない」と「あまり喜ばしくはない」とを合計した『歓迎しない派』は16.5%と、『歓迎派』の方が2倍以上多いことが分かりました。
    テレワークの『歓迎派』は、どの世代でも『歓迎しない派』を上回っており、最も『歓迎派』の割合が高いミレニアル世代では過半数(50.8%)が『歓迎派』であるようです。

    Chart10

    今後は、約3割のビジネスマンがテレワークを中心に仕事をしたいと考えている。

    新コロナ感染対策という予想外の事態で多くのビジネスマンがテレワークを経験したことで、その「経験値」は今後どのような影響を与えるのでしょうか?

    テレワークの経験値がテレワークの評価を高める。
    テレワークの「経験者」と「未経験者」のテレワークについての評価の違いを見てみました。ここで言う「経験者」とは、新コロナ感染対策期間中に週3回以上テレワークを実践したビジネスマン、「未経験者」とは、それ以外(ゼロを含むテレワーク実践週1~2回以下のビジネスマン)としています。

    CHART 11を見ると、テレワーク経験者は、未経験者に比べてテレワークの生産性を高く評価する傾向にあり、更にテレワークを歓迎する傾向はそれ以上に高いようです。

    テレワークの生産性については、テレワーク経験者のうち『ポジティブ派』が32.9%と、未経験者の20.5%に比べて高い傾向にあり、テレワークを歓迎するかどうかについては、経験者のうち『歓迎派』が57.8%と、未経験者の35.9%を上回ります。

    Chart11

    テレワーク今後の意向
    新コロナの影響で(2020年の4月から5月にかけて)4割弱のビジネスマンが週3日以上のテレワークを経験しました。今後のテレワークの意向を聞くと、「基本的に毎日」が10.3%、「週に3~4日」が18.9%と、ビジネスマンの約3割(29.2%)が今後テレワークを中心(週3日以上)にして仕事をしたいと考えているという計算になります。

    Chart12

    今後テレワークを中心(週3日以上)に仕事をしたい約3割のビジネスマンと、テレワークを中心にとまではいかなくとも、たまには(週1~2日以下)テレワークをしたいと考えるビジネスマン(25.8%)を併せると、ビジネスマンの過半数がいずれかの頻度で今後テレワークをしたいと考えています。

    新コロナ感染対策期間中のテレワークの経験値が、企業で働くビジネスマンが考えるテレワークへの心理的なハードルを下げ、テレワークへの期待を高めたことは間違いありませんし、時期的なことは別として、テレワークは大きなトレンドであることは間違いないでしょう。

    約3割のビジネスマンが今後はテレワークを中心に仕事をしたいと考えている中、企業はどうテレワークに取り組むのか、想定される様々な歪みを解決しどう生産性を高めていくのか、企業にとって大きなテーマでしょう。

    Z世代は、テレワークがもたらす自由な社風・多様性・創造性に期待を寄せる一方、テレワークの浸透に伴う「会社の理念やビジョンの共有」に関する危惧も(他の世代よりも強く)抱いています。Z世代が抱く、こうした期待と危惧の2つの側面に対して、企業は正面から向き合っていく必要があると考えられます。

    (了)

    資料:分析手法等についての記述

    注1.テレワーク
    本調査では、「リモートワーク(自宅やカフェなど勤務先などの職場以外で働くこと)」についてお聞きします」という質問文でテレワークの実施状況を聞いています。

    注2.本分析では各世代を次のように定義しています。
    注2

    お願い
    本リリース内容の引用・転載の際には、必ずクレジットを明記(例1参照)していただけますようお願い申し上げます。また、調査結果のグラフ・表をご利用の場合には、データ部分に当社のクレジットの掲載(例2参照)をお願いします。
    例1: 「企業のブランドコンサルティングを支援する株式会社リスキーブランド(本社:東京都渋谷区、代表取締役:田崎和照)の調査によると・・・」
    例2: 出典:「(株)リスキーブランド/マインドボイス調査」

    MINDVOICE®とは
    MINDVOICE®は、ブランド戦略コンサルティングを行う(株)リスキーブランドが一般生活者を対象に実施する経年調査です。2008年以降実施(約4000サンプル/年)する定量調査データをもとに商品企画やマーケティング活動を含む企業のブランド戦略を支援するリサーチプログラムです。
    ・調査対象:全国、15-74歳の日本人男女 *2017年までは15-64歳
    ・調査手法:インターネット調査
    ・有効回答:約4,000サンプル(15-74歳男女)
    *MINDVOICE®は株式会社リスキーブランドの登録商標です。

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